幻奏喫茶アンシャンテ
イグニス・カリブンクルス(CV:小野友樹)の感想です。ネタバレあり。
- 運命に抗う者 -
攻略はこちら:幻奏喫茶アンシャンテ イグニス 攻略
イグニス 個別ルート感想
幻奏喫茶アンシャンテ2人目はイグニスを攻略しました~。
最初は怖い人だな~という印象から始まりますが、公式さんの方で「古き良きヤンキー的な性格」って紹介があったのでなるほどな、と。ぶっきらぼうツンデレ系キャラクターでした。
琴音ちゃんと『番』かと言われて慌てるのが可愛いですね。そしてそれを華麗にスルーして「彼女連れてきてね」と良い笑顔で言い切る琴音ちゃんに対してもやもやしてて(笑)
彼の魔獣としての種族は炎の人狼さんです。故郷は極寒の獣界ベスティア。
琴音ちゃんが大量のお弁当を持たせた際には、「あれ、これすぐにカッチカチに凍るんじゃ?」と一瞬思いましたが、すぐに「あ、セルフ温めできるやん」と思い直しました(笑)
電子レンジいらずで便利そうです。作中でもイルがイグニスの傍は暖かいからとストーブ変わりにしていた姿も見られましたもんね。
イグニスは食べることが好きで、それは正気を失いかけたときに偶然アンシャンテに訪れ、草庵のご飯を食べて救われたからでした。彼がおじいちゃんのことを「恩人」というのもそれがきっかけ。
そして、正気を失いかけるのは“魔獣の持つ闘争本能のため”と思い込んでいましたが、それは同郷の者から教えられた嘘で、その実はイグニスしか持たない『界喰狼』の末裔としての血と本能が原因なのでした。それにより、血を血で洗う闘争を繰り返すと本能が目を覚まし、捕食の衝動が抑えられなくなる。
イグニス以外の魔獣がそもそも消化器官を持っていないから何かを食べることができない、というのもかなり驚きました。
共通ルート読了の時点で、すでに【イグニス=食】みたいな方程式ができあがってるじゃないですか。そして私たち人間の感覚だと食べられることが普通なので、『物を食べられない』という発想に至れませんでした。
そんな感じで、性格は概ね予想通りでしたが、ストーリーの展開は予想外だったのでした。
彼の世界であるベスティアは、強さの証明のために他者を殺し、弱いものは排他される、それが常となっている場所でした。自然界の動物のように、生きるための狩りではないんですね。
そもそも魔獣は食べることができないので、人間の感覚でいうと完全に無用な殺生になるわけです。イグニスも、単純に喧嘩は好きだけど殺すことについては理解できないし納得もできないと、殺さない彼が異端とされる、そんな世界の価値観を変えたいとずっと思って生きてきました。
自分を殺そうと幾度も向かってくる数多の魔獣を、よく殺さずに迎え打てるなあと感心。余裕で殺せる力があるはずなのに。それがこの世界のルールだから殺そうと向かってくるのは仕方ないと、怒る気持ちを個々にではなく世界に向けている懐の広くで意志の強い人なんだなと感じました。
そんな不殺の信念を掲げるイグニスですが、現実は酷なものでした……。過去、界喰狼の血が目覚めた際に、敵味方かまわず本能のままに殺してしまったという事実が発覚。
今まで信じてきたものが崩れ去り、その後は皆と距離を取ろうとします。自分が何者か分からず、自分がいつ狂って周りの人を脅かすか恐れていて、きっと自分がこわいんだろうなあと。
その後、イグニスの正体が『界喰狼』であることが明かされましたが、コロロの伝承の語り部、可愛いけどたどたどしい平仮名ことばが絶妙な不気味さを醸し出していましたね……。
裏で糸を引いていた黒幕はドローミで。すっかりただのサブキャラだと思っていたので驚かされました。
イルには呼び名が「ドローミッス」で定着されてしまうし、兄貴と慕っているイグニスには常にボコボコにされているし。妙にイグニスの強さに固執してるなとは思ったけれど、琴音ちゃんにそのことで当たってしまった際には素直に謝っていたから普通にいい奴かなとか思ってました。
コロロが彼に対してずっと唸っていたのも伏線だったんですね。彼が計画を立てたときにコロロがそれを見ていたから。そんな彼はなんと、災厄の狂信者なのでした。
本性をさらけ出してからは、あのマッドサイエンティスト(?)御門が引くくらい狂気じみています。弱いふりをしてイグニスのところに敵を引き連れて逃げてきたり、人間界に敵を送り込んだりと裏で暗躍していました。
ドローミの目的はイグニスを暴走させて本能を呼び覚まし『界喰狼』を降臨させることでした。その実は、過去に遊ぶように殺された同胞の死が間違っていると証明したかったというのが動機で。
悪意だけで殺すのではなく、界喰狼のように食べるため、ひいては生きるために殺す。何も残らない死ではなく、糧となり意味のある死を。ただ世界のルールに勝ちたかったというのがドローミの願いでした。
これって一見するとイグニスの夢と似ているようにみえますが、その手段が「殺す」ことである以上は真逆なんですよね。似つつも対照的で、相反する2人の思いが印象に残りました。
そして冷静に考えると、そもそもイグニスとドローミが厭う、ベスティアの強者をよしとする風潮が生まれたのは太古の界喰狼の目覚めによるもの。そして皮肉にもその元凶に心酔することになるドローミ。だからこそ狂信者なのかも。
イグニスにしても、この世界のルールを作った奴が憎いというような発言がありましたが、その元凶が自分の内に眠っているなんて、想いのぶつけ所がどこにもないじゃないですか。やるせない……。
そしてイグニスが本能に目覚めて他者を殺して捕食してしまうあのシーン。作中で一番グロテスクなシーンだったんじゃないだろうか。イルにも琴音にも容赦がないので、しばらく「バッドエンドに入ったかな?」と思ったほど。
イルはボロ雑巾状態で瀕死、琴音ちゃんはまさかのイグニスに腕の肉を食べられるなんて……。凄惨でした。
その後はかけつけたアンシャンテ常連メンバーに抑えられ、封印されてしまいます。仲間に封印されるって、される方もした方も辛いですよね。
イグニスと琴音ちゃんの、お互い好きなのに近づくことすらできない2人の叫びも悲痛でした。
クライマックスに向けての、界喰狼と化したイグニスを救うための闘いは盛り上がりましたね~!皆で協力してイグニスを倒すとか、個別ルート入ってすぐの時には想像もできなかった展開です。
アンシャンテはバトルシーンも見ていてわくわくしますね。スノーモービルで雪の大地を駆けていく場面の画面演出もすごかったです。雪がこっちに向かって吹き付けてくる感。細かい……!
イグニスが助けた弱者達が、最後に助太刀してくれたのも熱かったですね!貫いてきたはずだったけど貫けていなかった、不殺の意志がめぐりめぐって彼の元に帰ってきました。時には琴音を助けてくれ、最後には自分をも助けてくれた。我を忘れて殺しを働いてしまったことはあったけれど、自分の意志で貫こうとしていた不殺の想いは無駄ではなかった。報いがあって良かったです。
結末も素敵でした。琴音が界喰狼の姿のイグニスの頭を抱きかかえ、そしてイグニスがその姿のまま涙を流して元に戻るシーンは感動ものでした。朝焼けに立つ2人のスチルが綺麗で。その後の笑顔も相まってハッピーエンド!でした。
一度腕を肉ごと噛み千切られるという経験をしてなお、恐怖に打ち勝ってイグニスを取り戻した琴音ちゃんが強い。恐いという気持ちを隠さずに、イグニスと向き合って。非力で時に迷いながらも、芯を持って戦う良きヒロインちゃんです。
エンディングでは、いきなりのベロチューに不覚にもドキッとさせられました。序盤であんなに照れていた癖に、惚れたと認めたらものすごく素直に伝えてきますね彼。愛の言葉もド直球でした。ごちそうさまです。
このルートではコロロが大活躍でしたね!ドローミの目論見を最初からただ1人(匹)知っていたり、琴音がベスティアに放り出されたときにイグニスを呼びに行ったり、ラストでは種族を引き連れて戦いに参戦したり……MVPあげても良いと思います。
相変わらず癒しも提供してくれましたしね~!それから笑いも。
コロロの名前呼びイベントが大好きです。しかもこれ、全部選べると思ったら1つだけなんですよね……!もうこれはすべて選ばせてくれ~と叫ばずにはいられませんでした。もちろんクイックセーブ&ロードを駆使して全回収しましたが。
「はきょいり」とか「ちゅーねん」とか、そして突然の「「「カヌス」」」。
というヴェンニーアの声真似。キャラどころか声帯かわってないですかwww
あの時だけは絶対に中に人が入ってたよ。真面目に「みゅるる」や「かりゃー」と発音をするのも可愛すぎました。
そんなこんなでイグニスルートの感想を終わります。
彼のルートテーマは【本能】だそうですが、まさにそのワードに沿ったストーリーでした。
今2人目ですが、謎もいろいろと出てきましたね。
ミシェルの切り札・絶対に勝てる力とは何なのか、イルの治療をした人は誰なのか、豪角[アルムム]への投薬は誰の仕業なのか(投薬自体はドローミかもしれないが、どこから入手したのか謎)、ホールが人間界に繋がる理由はどうしてなのか、などなど。
これらの伏線がどこで回収されるのか楽しみです。
次は凛堂!