総評レビュー&総合感想です。ネタバレなし。
購入しようかどうか迷っている人の1つの指針になれば幸いです(*’▽’)♪
※個人的所感ですので参考程度にお願いします
※気を付けていますが、1ミリのネタバレも許せない、まっさらな状態でプレイしたい!という方は回れ右推奨です。
総評レビュー(ネタバレなし)
シナリオ
プレイ時間は共通ルート5時間、個別ルート5~6時間でした。1周目は10時間程かかりますが、2周目から共通ルートは5分以内で抜けられますので、2周目以降は5~6時間程でさくっとプレイできるボリュームでした。1人あたりのボリュームは普通くらいですが、昨今の良作乙女ゲームはもう少し長いものが多いので、人によっては物足りなく感じるかもしれません。ただし、攻略キャラクターが6人と多いので、全体的にみるとボリューミーです。
内容については、この作品独自の基幹設定がしっかりと練られており、壮大な世界観が演出されていました。現実世界とは少し異なる日本神話、“色”で分けられた厳格な身分制度、メインキャラクターのバックグランド……などなど、世界観を構成する設定の芯がしっかりしています。また、ストーリー内でキャラクター達がそれぞれにしか成しえない『役目』を見つけていくのも、キャラクターの存在意義が感じられて、それにより更に設定が深まっていて良かったと思いました。
ただ個人的には、設定がそれだけしっかりしている割には、個別ルートのストーリーが物足りなかったな、という印象でした。主人公と対象キャラクターがお互いを好きになるのが唐突だったり、風呂敷を広げすぎて問題が解決しきれず結末が薄いなと思ってしまったり……個人差があると思うのですが、普段シナリオ重視でプレイされている方は同じような感覚を抱かれるかもしれません。
1つ1つのシーンは楽しめるし、抑えるべきシチュエーションはしっかり抑えてくれていてキャラ萌えは十分にさせてもらえたんですけどね。せっかく複雑な設定が上手く絡み合っているのに、先が簡単に想像できてしまったり、問題の解決があっさりしていたので、もう少し重みや深みが欲しかったなあと。
共通ルートで募っていくわくわく感や期待に、個別ルートで応えきれていなかったというのが正直な感想でした。また、ストーリー内での回想シーンがしつこく感じる部分があり、進行がもたついてテンポが悪く感じてしまう面も。
少し辛口になってしまいましたが、世界観がしっかり作りこまれているので、ストーリーに整合性はあり、どのルートも軸に芯は通っているシナリオになっていました。多分もう少し個別ルートにボリュームがあって細部まで描ききることができていれば、更に素晴らしい作品になっていたんじゃないかなと思います。
キャラクター
攻略対象キャラクターは6人という贅沢なバリエーション。みんな魅力的で、誰から攻略するかすごく迷いました。結局、共通ルート終わっても決めきれず、キャラクター選択画面で更に悩みました。それくらい魅力のあるキャラクター達が揃っています。
キャラクターデザインも、メインキャラ・サブキャラともに素晴らしくいいんですよね。服装とかもそれぞれ個性的なデザインで見ていて飽きないです。個人的には、パッケージキャラクターの朱砂が眼鏡キャラというところにびっくり。ヒーローポジションのキャラクターで、眼鏡って珍しいですよね。敬語なのも相まってグッときました。他にも色黒のお医者さん、ちょっと古風で堅物そうな青年、歴史上の人物と同じ名前の可愛らしい少年、妖艶な雰囲気を持つ美人なお兄さん、色素の薄い謎の美少年と、よりどりみどりのキャラクター達との触れ合いが楽しめます。
それぞれ過去に抱える物があり物語を通して成長したり、主人公と関わることで変わっていったりする姿を見られます。
1つ残念だったのが、サブキャラクターをもう少し大事にしてほしかったなあという点。せっかく綺麗な立ち絵が用意されていて、それぞれの物語上の立ち位置や背景の設定があるのに、深く踏み込まれずにあっさり退場というのが多かったような気がします。特に悪役に関しては後味の悪さだけ残して去ってしまうパターンが多かったのが……。なぜそうするに至ったのか、心情や動機の部分が理解できるように立ち回らせてあげて欲しかったです。
糖度
糖度は高めです。レーティングがCERO:D(17才以上)ならではの甘さです。
主人公の目的が、『たった1人の【白】を途絶えさせないために、交配相手を捜す』ことになるので、官能的な文章表現や肌色スチルもあります。
そういう話に持っていくために無理やりねじ込んだという感じではなく、お互いの想いが溢れて自然と……といった話の運び方になっている上に前述の主人公の目的もあるため、そのシーンは違和感なく安心して見ることができました。
グラフィック
「ディアラバ」「ニルアド」「OZMAFIA」などの人気乙女ゲームタイトルでお馴染みの、さとい先生がキャラクターデザインを担当されています。
透明感のある綺麗なイラストで、【色】をテーマにした物語を引き立てるような鮮やかな色使い。立ち絵もスチルも何度見ても飽きませんでした。プレイ終了後も幾度見返したことか……。キャラクターの書き込みが細かいので、見れば見るほど楽しいんですよね。
今回は背景はあまり描かれいていないスチルが多かったです。正直、1~2枚ほど、パースがあれ?と思うものもあったのですが、私は満足しています。このイラストを見られただけで買って損はなかったなと思えました。アニメイトでスチルコレクション出たら集めたいなあ。
システム
ゲームシステムはオーソドックスなオトメイト仕様。スキップ速度が速くて快適でした。好感度システムについては、本作ではステータスが存在しないため、選択直後に出るアイキャッチで確認していく感じになります。
ED数が多くないので、コンプまでそれほど難易度は高くありません。
操作面で難点があるとすれば、セーブとロードのメニューを分けて欲しかったという点。同一メニュー内でRボタンでセーブ&ロードを切り替える仕様のため、何度かロードしたいのに誤って上書きセーブしてしまうことがありました。
クリア後のオマケ要素としては、エンディング後の後日談(スチルあり)、メインキャラクターのボイス付きプロフィール、メインキャラクターとサブキャラクター全員のモノローグ形式のSSが用意されていました。オマケのボリュームが十分あり、クリア後も楽しめました。サブキャラのSSで、本編部分を補完しているものもありますのでオマケは必見です。
総評
『これは辿り着いていたかもしれないもう一つの神話の物語』というキャッチコピーが印象的な本作。「神話」と聞くと和風的なイメージを連想させますが、舞台は和洋折衷が融合する不思議な島で物語が繰り広げられ、神秘的な世界観が広がっています。なぜそんな世界になったのか、最後までプレイするとその成り立ちまでもが解明されていきます。世界観が壮大で、それを構成する設定もしっかり練られていて芯の通ったストーリーになっています。
シナリオ面で述べた通り、個人的には個別ルートのシナリオに物足りないと感じた部分もありました。まだ問題が解決していないものや、これからどうしていくのかが気になるところですので、続編があればその辺りをしっかり描いてくれると嬉しいなあと思います。キャラ萌えやシチュ萌えはばっちりさせてもらいましたし、作品の雰囲気や設定自体はとても気に入りましたので、続編が出たらきっと買います。
公式サイトを確認して、雰囲気・イラスト・声優が好き!と思った方は買って楽しめるかと思います。キャラクターは声優さんの演技も相まって全員が魅力的ですし、スチルも綺麗なのでそこは損しません。ただし、何よりもシナリオを重視する!という方は少し受け入れ難いかも。また、乙女ゲームでの肌色展開が苦手な方はちょっと注意が必要です。
制作スタッフが「ニルアドミラリの天秤」の開発陣になりますので、ニルアドが好きだった方には特におすすめできます。
生まれ持った【色】によって階級が決まる世界で、たった一人の【白】の少女が運命の半身を探す――そんな御伽噺のような物語です。島を囲む広大な海が、波で彼らに何を運んでくるのか。気になった方はぜひ遊んでみてください。
現在(2020年4月)は例のウイルス騒ぎで外出自粛期間が続いていますので、これから巣ごもりのお供に乙女ゲームを初めてみたいという初心者さんにもおすすめです!
Switch 2020/4/16 発売
オトメイト(アイデアファクトリー)
さとい 渡邉渡 片桐由摩
松岡禎丞 杉田智和 島﨑信長 上村祐翔 内田雄馬 堀江瞬
辿り着いていたかもしれないもう一つの神話の物語