総評レビュー&総合感想です。ネタバレなし。
購入しようかどうか迷っている人の1つの指針になれば幸いです(*’▽’)♪
※個人的所感ですので参考程度にお願いします
※気を付けていますが、1ミリのネタバレも許せない、まっさらな状態でプレイしたい!という方は回れ右推奨です。
総評レビュー(ネタバレなし)
シナリオ
ダークファンタジー×オズの魔法使い×殺人鬼――という刺激的な要素が融合した『OVER REQUIEMZ』。物語は、主人公が異世界「オズの国」に迷い込み、死罪を免れるために廃墟調査へ赴くという導入から始まります。
本作最大の魅力は、各キャラクターに「真相ルート」と「闇堕ルート」の二つのルートが用意されており、それぞれが独立した物語としてしっかり構築されている点です。どちらの結末も、向かうべくして辿り着いた終着点として納得のいく構成になっており、結末までの積み重ねが丁寧に描かれていました。
また、伏線の配置と回収も巧妙で、他キャラのルートでも伏線が散りばめられており、プレイ中に「あっ!あの場面そういうことだったのか!」と回顧して驚かされる瞬間が多々ありました。
プレイ時間は1周6~8時間ほど。全キャラ共通ルートはプロローグのみでさくっと終わり、すぐに個別ルートに入り1~5章、その後に「真相ルート」と「闇堕ルート」のいずれかのルートに分岐し、各6~10章までという十分なボリュームのある構成となっています。
キャラクター
攻略対象キャラクターは、悪魔憑きの王子・カイゼ、廃墟に魅せられた研究者・クロード、ミステリアスな葬儀屋・モリィ、荒々しい不良騎士・ノイル、慇懃無礼な北の魔女・ドロシーの5人です。
旅の同行者となる彼らは過去に人を手に掛けた「殺人鬼」として描かれていますが、物語を進める中で彼らの背景や心情が丁寧に描かれ、明かされる真実には驚きの連続でした。
キャラクター同士の掛け合いも楽しく、1人攻略が終わる頃には次のキャラクターが気になって手を止める暇がありませんでした。
糖度
糖度は全体的に低め。シナリオや世界観、運命や葛藤に比重が置かれている印象です。その分、時折挿入される甘めのやり取りは逆に印象に残りやすく、関係性の変化をしっかりと感じ取ることができました。
恋愛過程には納得感があり、急に惹かれ合うような唐突さは感じませんでした。糖度だけを求めて購入されると物足りなさはあるかもしれませんが、物語全体の中での恋愛描写としては世界観を崩さないバランス配分になっていたと思います。今後FDでがっつり糖度高めのアフターストーリーが見られることに期待しています。
グラフィック
キャラクターデザイン・原画は風李たゆ先生が担当しており、美麗なイラストが作品の魅力を引き立てています。キャラクターデザインにも上手く「オズの魔法使い」要素が溶け込んでいてさすがの一言。スチルは1人あたり差分なしで16枚ずつと十分なボリュームでした。
システム
特徴的だったのが、本作には好感度システムがありません。会話を楽しめるよう配慮された自由に選択できる「通常選択肢」と、正解を選ぶとご褒美ボイスが貰える「ご褒美選択肢」、ルート分岐を決定する「分岐選択肢」という3種類の形式で物語が進行します。
選択肢はどれを選んでもしっかりテキストが用意されていて、正解のある選択肢でもついついハズレの方を試してみたくなるような面白い選択肢が多数用意されています。
個人的なプレイスタイルとして、私は全ての選択肢を回収する派なのですが、こんなに選択肢回収が楽しいと思った作品は初めてだったかもしれません。
インターフェースも分かりやすく、既読スキップや選択肢スキップも快適でした。UIデザインも作品の雰囲気に合っており、細部まで世界観を壊さない工夫がされている印象でした。
また、フローチャートも便利で任意の章から再開できるほか、各章のあらすじのようなものがキャラクター目線で記されていたのも没入感を高めてくれる良いポイントでした。
総評
『OVER REQUIEMZ』は、ダークファンタジーな世界観と丁寧に描かれたシナリオが魅力の作品です。糖度は控えめですが、世界観やキャラクターの設定がしっかりしており物語の完成度が高いと感じました。「真相ルート」と「闇堕ルート」はどちらも独立性が高く、それぞれの終着点に辿り着くまでの過程が丁寧に描かれていたため、プレイ後の満足感も大きかったです。モチーフとなっている「オズの魔法使い」要素もしっかり取り込まれており、知っている方はいろいろ気づけて楽しいんじゃないかなと思います。
「終遠のヴィルシュ」などのダークファンタジー作品が好きな方には特におすすめです。
逆にダークな展開が苦手な人は、「闇堕ルート」が「真相ルート」と同等のボリュームに渡って展開されるため、しんどく感じるかもしれません。狂愛やヤンデレ系が苦手な方は要注意。「いやいや、闇堕ウェルカムです!」なお嬢様方は溢れる緊迫感によりいろんな意味で終始ドキドキさせられることかと思います。
万人受けはしないかもしれませんが、そのぶん「刺さる人には深く刺さる」作品だと思います。個人的には非常に気に入った作品でしたので、今後ファンディスクの発売に大いに期待しております。
『真相』か、『闇堕』か――。ミステリアスな殺人鬼たちとの旅路の果てに何があるのか、ぜひご自身の目で見届けてみてはいかがでしょうか。
Switch 発売日:2025/4/17
オトメイト/工画堂スタジオ
風李たゆ 七霧花男
阿座上洋平 古川慎 石川界人 鈴木崚汰 堀江瞬
どんな痛みが待っていても、この選択を後悔しない。迷い込んだ「オズの国」で、悲しみを乗り越えるダークファンタジー。/真相か闇堕か選択を迫る恋愛ADV
工画堂スタジオとオトメイトのタッグ作品。終わりへ向かう旅物語。
P.S.おまけで貰える「ご褒美ボイス」、まとめてCDにして出して欲しい……!疲れた時や落ち込んだ時に繰り返し聞きたいよ~~~~~。

