終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-
- 人を生かす運命に熱狂した男 -
シアン・ブロフィワーズ(Cv:細谷佳正)のネタバレあり感想です。
攻略はこちら:終遠のヴィルシュ シアン 攻略
シアン 個別ルート感想
- ネタバレ有り感想です。コンプ前の閲覧はお控えください。
- 他キャラクターのネタバレも若干含みます。
- 各種特典小冊子の後日談SSのネタバレもあり。
全体
3人目の攻略はシアンです。
攻略対象の中で唯一のリライバー。ずっと気になってました。
アルペシェールの実質最高権力者であり、人は彼を神と呼び、自身も己を神と称する。
民の『呪いで死にたくない』という願いを「暇だったので手を差し伸べてやった」という軽いノリで数か月でリライバー技術を構築したとんでもない天才です。
23年という命の制限をいじったどころか、これって不老不死の技術ですよね。若い姿のまま永遠に生きていられる。呪いのせいで23歳に近づくごとに苦しむことにはなり、大事な感情が抜け落ちてしまうデメリットがあるとはいえ、不老不死というのは大きすぎる恩恵です。まさしく神の領域と言わざるを得ません。
感情を「いらないモノ」として考え、その中でも最も「恋愛感情」を忌避する彼と、どう関わり発展していくのか、始まる前からいろいろ考えて楽しみにしていました。
人類で初めてリライバーになった瞬間、オリジナルの自分をさくっと実験がてら殺してしまうほど合理的。
そしてそのシーンのスチルの色っぽさがすごかった。
徹底的な現実主義かつ科学的根拠があるものしか信じないという性格が幸いして、セレスの体質のことも気にも留められず。
これはイヴや第三幕を終えると分かることですが、ちょっと試しに血液を……とかされなくて本当に良かったですよね。
全自動サンドイッチ供給機こと、自動給餌機になったシーンは可愛かった。こそっとカゴを入れ替えてサンドイッチを手渡すセレスも可愛いし、無意識に受け取って食べるシアンも可愛い。
セレスを雑用係に任命したきっかけが『余計なことをしない』『でしゃばらない』ところが気に入ったからというのも彼らしいですよね。
あとジグソーパズルをしているときの独り言(笑)不気味な笑いと共にテンションめっちゃ高い。
シアンの日常パートはなんだかんだでほのぼのしてるし、彼のいろんな一面を知れて楽しいですよね~(*´ω`)
ダハトからの「愛想を尽かされるかも」という忠告をあの無駄を徹底的に嫌うシアンが脳に刻み、気分転換で別の仕事を見せてくれたりと、少しずつセレスに気遣いを始めるのもお互いの距離が縮まっていく過程が見られて好きです。
あの「気分転換」で人質にされたセレスをばっさり切り捨てるシアンは流石。
これ、もし救済エンド後に同じような事が起こった時にはどうするのかが見てみたいですよね~!そうなったら冷静に対処するんでしょうけど、内心は穏やかじゃなかったりして。と妄想が膨らみます。
シアンについてはアンクゥの警告やマムの心配などから、善なのか悪なのかという葛藤をセレスがしていましたが、プレイヤー目線としてマティス⇒リュカ⇒シアンと進んできていても、とりわけシアンが悪人には見えないんですよね。
まあ後のイヴや第三幕のルートで思い知ることになるんですが……それを踏まえたとしても悪と断じきれるかというと、うーん。少数から見ると悪、大多数から見ると善、といったところでしょうか。倫理的には悪で、結果的には善といいますか。
ただ本人の言う通り決して『善人』という訳ではないんですよね。
神として生まれたから、「人を生かす」ことは責務であり、それを存在意義としている。
その目的のためならどんな手段も厭わない人なので。
世界を神の視点から【俯瞰】して見ていて、傲慢な人。けれども歴史はきっとそういう傲慢な人が作っていくんでしょうね。崩壊を導くのもまた然り。
そんなシアンの暗部、裏の実験をセレスは見せられることになる訳ですが、見せなくても良かったものをわざわざ見せつけたのは、シアン本人も存外にセレスのことを気に入ってしまっていることに気づいて、これ以上内側に入ってこないように一線を引こうとしたのか、それとも、知って欲しかったのか。知って欲しいという気持ちも無意識下であったんじゃないかなあと思うのです。
そこからセレスの不在で無意識にパンを貰う手を差し出していたり、そのあと再会したときに王族が彼女を殴ったことに少なからず憤りを感じていたりと、シアンの心が動いていく過程ににやにや(・∀・)
他の男性陣についてちょっと気にしていたり。
地下で襲ってきた死刑執行人からセレスを守るシーンはカッコよすぎた。あのスチル最高です。
シアン・ブロフィワーズ恐るべし……!冷たかった人が後々、情を向けてくるのって個人的にツボなんですよねえ( *´艸`)
シアンの失脚からは怒涛の展開の連続でしたね。
アドルフが死んでしまったのが衝撃でした。ここまでのルートではメインキャラは誰も死亡しなかったので……。駆けつけた時には首が飛ばされる瞬間だったというのが、もう、、、
この作品には悪い人がたくさん出てきますが、王族だけは情状酌量の余地なしでただただ胸糞の悪いクズですね。(個人的には遺伝子大好きなあの人もなかなか酷いと思うけど)
シアンの目標に対する信念が語られるシーン。
ただ犠牲を他人に強いるだけでなく、自分も代償を支払う神様。こういうところは人間なんだなあと思います。神様ならエゴでもなんでも構わず全て自分勝手に創造してもいいんだもの。
研究所を奪還するため戦う理由の中に「セレスの死に対する対策ができなくなる」というのが入ったことにもぐっときました。
「独占したいと思う程度には気に入っている」といいつつも、「あくまで雑用係として」と付け加えるのも彼らしいのですが、その時点で本人、薄々自分が愛情を抱き始めてることにきっと気づいているはず。
感情が希薄でも、鈍いわけではないと思うので。
そしてついに呪いを【解く】から【耐える】ことに注力するようになっていた自分の弱さに気づき、熱狂という感情を取り戻したシアン。
さらっと伴侶発言!!!!!!!!!!このシーンすごくお気に入りです。
こんな発言をしながらも、今の身体ではこれまで否定してきた恋愛感情を意地でも認めないのはブレませんでしたね。新しい身体になる直前まで「最後まで恋などしないし、できない」と。
絶望エンド
【 空想の中の君 】
もう3周目になれば慣れたもんですよ。
絶対これハッピーになる流れやん!からの絶望。上げて落とす。制作陣の思惑にハマり込んでますね。そんな世界観にもしっかりハマっているのですが。
脳内イマジナリーガールフレンドENDになりました。
しかも妄想じゃなくて本当に脳内に「いる」んですよね。セレスの記憶を自分にダウンロードしたから。
イヴ曰く、「記憶は適合しなかった」とのことだったので、本当に「いる」のかどうかは定かではありません。もしかすると本当にただ狂ってしまった末に生み出された妄想なのかもしれない。けれどもここは「いる」と信じたいところです。シアンの中で生きていると。でなきゃ何も救われない……。
シアンの涙声が悲痛すぎて胸が締め付けられました。
このエンディングですが、なんやかんや研究所は奪還できてるしダハトも復活したけどどこかに消えたし、シアンも次世代リライバーとして復活できてるから、世界的には呪いの解ける明るい未来があるような。
そして、セレスの記憶だけは維持できているので、シアンならいずれはセレスを復活させることができるのでは……?遺体とかも保管していそうですよね。
(と思ってたら特典小冊子SSでやっぱり……!でした)
【 母の答え 】
こちらの絶望エンドはマムにさっくりと殺されてしまいました。ここでマムか~……。マムからの愛情だけは本物だったの思うので、彼女に殺される所は見たくなかったですね( ;∀;)
終ヴィルにしては珍しい気がするあっさりしたBAD ENDでした。
救済エンド
【 人としての初恋を 】
恋愛感情を引き継ぎ生まれ変わったシアン。
もう耐えるためのクローン体になるのは最後でバックアップも不要、セレスが死ぬまでの数年で国の呪いを解くと高らかに宣言します。そしてこれから死神に初めての恋をすることも。
絶望エンドと救済エンドの状況って、セレスが生きてるか死んでるかの違いしかないのに、この結末の違い……!本当にセレスってシアンにとてつもなく大きな影響を与えたんだなあと。
彼女だって巡り合わせが悪ければ、簡単にただの実験体と見なされてしまう存在でしたからね。ここまでシアンと過ごした時間で確実に未来が変わってる。
子どもについてのことまで公言したのには笑いました。めちゃくちゃテンションあがってますねこのお方( *´艸`)楽しそうでした。
エピローグのアンクゥは彼のこれまでをもう知っているからこそ出てくるたびに切ない。特にこれは本当に複雑だろうなあ……。
不死になった元凶。でもそれがなければこの物語は始まっていないという因果。
アドルフや施設の子供たちが死んでしまったことだけを除けば、客観的に見てかなり幸せな結末なのではないでしょうか。
シアンが生きていてかつ味方であればカプシーヌやカミーユが出てきても対処できるでしょうし、ダハトも何の因果か実の母親に殺されてしまっていなくなっちゃったので。
そして惜しくもアドルフが亡くなったことによって、同時にアンクウの制約もなくなるから全面的に協力可能……と。
最期のシーンは激甘でしたね(/ω\)!
マティス⇒リュカ⇒シアンと進めてきたから余計に。久々に乙女ゲームのエンディングを見た気がしますw
セレスの前でだけは地に足をつけて人間でいてくれるそうですよ……(≧∇≦)!
神と死神の初恋。犠牲の上に成り立った結末。その続きをいつか見てみたいものです。
絶望エンド 後日談
※限定版特典小冊子SSネタバレです※
【 君想う熱狂の終わり 】
この話はゲームでやれば2時間ほどのシナリオができそうなくらいスケールの大きいエピソードでした。
セレスと共に生きるシアンは、ついにアルペシェールの呪いを解くことに成功します。
国民が愛する者たちと永遠を誓い合う姿を見て、ずっと感じていた胸の痛みが【憎しみ】の感情であると気がつきます。自分のセレスは還ってこず触れることもできないのに、なぜ生を預けていただけの民たちが幸せをただ享受しているのか。
そして、シアンはセレスを完全な形で蘇らせることを決意します。
ここまでは絶望エンド後に予想した展開と一緒でした!シアンならきっと呪いを解けるだろうし、セレスさえ復活させてみせるだろうと。
しかし、その手段が問題でした。国全てを培養器として国民を「溶かし」、遺伝子を編集して記憶と人格も人工的に作り上げる。
カミーユとカプシーヌがやろうとしていたようなことですよね。それを神様がやろうとすれば犠牲さえ出せば簡単にできてしまうわけで……。
【熱狂】に【憎しみ】の感情が足されて、神から国を亡ぼす悪魔に。ラスボス爆誕です。
そんなラスボスを倒しに現れたのは、やっぱり運命の宿敵・イヴでした。
奇しくもイヴルートのラストのような構図に。話の作り方うますぎる。
大衆にとっての善と悪が、あの時とはひっくり返っていましたね。セレスを守るのも逆。
ただ、セレスがイヴにシアンを止めて欲しいと願っていたことだけは同じだったんでしょうね……。
シアンの感情によって世界は救われもするし崩壊もする。神様の悪戯みたいですね。
救済エンド 後日談
※ステラ特典小冊子SSネタバレです※
【 この熱狂はとどまらぬことを知らぬ 】
何も言うことがないくらい甘々なアフターストーリーでしたとさ。
研究所内に作った2人で過ごす部屋でいちゃらぶしてました。この作品で幸せいっぱいなシーンはとてつもなく貴重なので、いいぞもっとやれください。
愛を認めたシアンはとっても積極的です。
神と死神、世界で唯一お互いが対等な目線で、世界で一番の愛を預け合う。
やっとホッと一息つくことができた、素敵なエピソードでした。
***
Ps.ずっと気になっていたシアンの実年齢は、限定版特典小冊子のプロフィールによると【82年(生存年数)】でした。
一見歳の差がすごいけれど、23歳から脳も成長できないので心はずっと青年のままなんですよね。ほんと設定良くできてるわ。