終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-
- 人を愛する運命を享受する男 -
イヴ(CV:斉藤壮馬)のネタバレあり感想です。
攻略はこちら:終遠のヴィルシュ イヴ 攻略
イヴ 個別ルート感想
- ネタバレ有り感想です。コンプ前の閲覧はお控えください。
- 他キャラクターのネタバレも若干含みます。
- 各種特典小冊子の後日談SSのネタバレもあり。
全体
3つの絶望を経て辿り着いたイヴルート。
初見ではイヴよりリュカやシアンが気になっていましたが、共通ルートや他ルートでどんどんイヴが気になるように。
クリア後にはばっちり、イヴが最推しになりました。
しかもこれまでプレイした乙女ゲームの全キャラクター中でも好きランキング(私的)では、ごぼう抜きの恐らく第3~4位くらいには入ってくるんじゃないだろうか。
それくらいキャラクター、ストーリーともに大好きになりました。
イヴとセレスの出会いと再会は、まさに【運命】でした。
彼はセレスを炎の中から救った張本人で、その時の顔の火傷が原因で親に捨てられてしまいます。
火傷だけで親に捨てられる……?と初めは疑問だったのですが、ただの火傷ではなくリコリスの毒素の影響で、黒い肌の上を赤い亀裂が脈動し生きているのかように走る呪われた傷跡だったから、化け物だと罵られ周りからも迫害されてしまうようになったんですね。
誰からもあいされなくなってしまった彼は、自分をあいしてもらうために人々を助ける道を選ぶようになりました。人を助けてあいし続けてれいれば、いつか自分にも還ってくると信じて。
死刑執行人と最初に対峙した時に話を聞こうとしたり、自分を刺した相手に対しても笑顔で優しく接したり、ストーリーが進むにつれ「優しい」という言葉だけでは収まらない、1周回って不気味にも感じてしまう度が過ぎた彼の博愛精神は、このためでした。
人間の清濁全てを許し、助け、あいするのは単純な優しさではなく下心があると公言するイヴですが、もともと火傷を負う前から彼の人柄は善性ではあるんですよね。幼いころから忌避されるリコリスを愛し、炎の中から自分の身を挺してセレスを助け出すほどの。
その善性が火傷のせいで少し歪んでしまった。
イヴと深く関わった人はその優しさに気持ち悪さを覚えたり、最終的には素顔を見て逃げ出してしまう――。
セレスを助けたことで全てを失ってしまったのに、セレスを恨むことを決してしないイヴ。
化け物と呼ばれ今まで自分をあいしてくれていた実の親に捨てられ、周りからも石を投げられ、それでも優しい人達から向けられるのは同情ばかり。その経験から迫害される気持ちを知って、恨むどころかセレスに寄り添おうとする。
今までたくさんの人にあいされてきたから、今度は自分が誰かをあいして助ける番だと、そう自分で決めて手を伸ばしたから、セレスを助けた行動に対して後悔は一切ないと彼は言います。
セレスを恨まない、というのは自分の選択の結果であり、この世に生まれ落ちた全ての生命を等しくあいするという彼の信念によるものであることと同時に、彼が痛みや負の感情を感じなくなってしまったことも大きく影響しているのだと思います。
痛みを感じない後天性無痛症を患い、痛みと共に悲しみ、恨み、憎しみといった負の感情すらも炎の記憶の中に置いてきてしまったイヴ。
この痛覚異常については、共通ルートや他ルートでは気をつかわせまいと我慢しているだけかな……?と思っていたりもしたのですが、流石にイヴルートに入ってからは鎮痛剤の備えが足りなかったり、教会の屋根から落下して血まみれになりながらもリュカ先生とにこやかに会話を続けていたり、道端で急に刺されても呻くことすらせず、怪我をしてもいつも笑っていて、明らかにおかしかったですもんね。
よくよく考えてみれば、リュカルートでハルバードで斬り裂かれた時にもよろけもせず思考もめちゃくちゃ冷静だったなあ……とか。ただの我慢強い人なんかではなく、痛いと「言わない」んじゃなくて、痛いとも辛いとも思わないから「言えなかった」だけ。
【リコリスの守護者】だと改めてセレスに自己紹介するのは素敵なシーンですよね。
夕日をバックに花畑で赤いリコリスの髪飾りを渡すスチルは、美しすぎて今でも網膜に焼き付いています。
ここから【イヴ・ノワージュ】という呼称が頻繁に出てくるようになりますが、しっくりくる素敵な響きの本名ですよね。イヴの口から紡がれるたびに好きになるお名前。
セレスがリコリスをもう一つの家族だと言ったあの瞬間から、イヴはセレスを意識し始めたんじゃないかなあ。
もともとリコリスをあいする気持ちは持っていたけれど、誰からもあいされないという点で自分とリコリスを重ねていた部分もあったんじゃないかと思うのです。それを好きだと言ってくれたセレス。
事実、変死事件が再び起こって疑念の目が彼女に向けられた時には、いつもの博愛精神からくる親切や人助けじゃなく、セレスだからこそ傍に置いて守ろうと決意します。今までの他者への献身によって積み上げてきた周りからの信頼を失うことになったとしても。
最初はただ【居場所】になろうという気持ちから始まった博愛の彼が向けるあいの変化。ここから変わり始めるイヴとセレスの関係には目が離せませんでした。
ヒューゴと喧嘩別れしてしまった後の夜のシーンも、その変化の過程が垣間見える、大好きなエピソードの一つです。
慈愛に満ちたような表情が描かれるスチルにはどこか切なさも感じます。
いつものように「あいしてる」と言い切れなかった変化。普段から振りまいているその一言がセレスには言えなかった。
ここでセレスが「普通の女の子」であると証明することを約束してくれるイヴでしたが、後々それは叶わず、プレイヤーとしても彼ら彼女らと同じく等しい絶望を味わわされることになりました……。
この時点では、私もまだセレスが死神と呼ばれるのには別の外的要因があって彼女自身のせいではないのでは……?という希望を持っていたりもしたのですが。淡くも打ち砕かれました。
さすが終ヴィル。絶望に定評のある乙女ゲームです。
そして物語は怒涛の展開を迎えていきます。
カプシーヌの陰謀によりアンクゥの血による抗体効果がなくなってしまい、イヴを蝕み始める呪い。そして暴かれる素顔。
イヴもセレスが相手じゃなければあそこまで怯えることはなかったんだろうなと思います。傷つきはするけれど、他の人が相手だったら「しょうがない」と苦笑で済ませてしまいそうなので。セレスだからこそ醜い火傷痕を見られて恐慌状態になるほど取り乱ししてしまった。
そんなイヴを見て、セレスはその火傷を「リコリス・ノワージュのようで綺麗だ」と心からの言葉を告げ、イヴの心は忘れていた痛みを思い出します。
後の決戦で明かされますが、この心臓の痛みによってイヴは失っていた痛覚を思い出しました。炎の記憶に置いてきた感情も共に。恋の痛みで痛みを思い出す……切なくも素敵なお話ですね。
もう博愛を振りまかず、ただ一人にだけその尊い感情を捧げたいと、それまで胸に秘めていた「愛してる」をセレスへと告げます。そしてセレスは返答として、誰もが触れるどころか視界に入れることすら忌避した彼の火傷痕に口づけを落とします。
この、「あい」から「愛」への表現の変化が素敵ですよね。
ここのスチルのイヴの表情とか好きすぎる……。
告げた想いにびっくりするセレスを見て「自分が愛を向けられるとは思わなかったんだろうなあ」とイヴは思っていましたが、それはイヴ自身にも言えることなんじゃないかなと。
彼自身、「今」の自分が誰かに愛してもらえるとは思っていなかった。素顔を見られたらたちまち遠ざかってしまうから。だから今の自分が愛される可能性を捨ててリライバーになろうと決意し、リライバー化によって失うであろうセレスへの気持ちを秘匿しようとしていたんですよね。
けれども自分が愛されない原因であるそれを受け入れてくれたことで、想いを秘める必要もなくなったんだなあと。
火傷への同情抜きで誰かにあいされたいと願っていたけど、本当の願いは、火傷も自分の人生の一部だから、それごと自分の全てを愛して欲しかった。
やっと交差した二人の想いに、万感の思いで胸がいっぱいです。
そして訪れるヒューゴの死や、呪いの末期症状に陥るイヴ。
襲われるイヴを救いにきたのはアンクゥでした。
第三幕を終えてわかりましたが、この時イヴの口に含ませたのはアンクゥの血液でしょうね。今まで姿を見せられず、「最後の調整」と言っていたのもリコリスの接種による副作用で身動きが取れなかったから。
何気に、この「久々に剣を使った」という描写もアンクゥの正体への伏線にもなっていたりしますね。
こういう細かく散りばめられていく伏線、大好きです……!
イヴが漂流者の末裔だったという、彼すらも知らなかった真実には驚きでした。
というのも、漂流者の末裔ってアドルフなんじゃないかなあと予想していたんですよね私。
共通ルートの死刑執行人捕獲作戦の際に、アドルフの家に漂流者の本があって、「末裔がまだいるんじゃないか~」なんて話が出たものですから、アドルフの伏線かと思っていました。(←のちに三幕で確かにアドルフの伏線でもあったんだと二重の驚きに陥ることになる)
そういえば味覚もしっかりと伏線でした。マティスだけがただ一人イヴの料理が美味しいと感じたのも、遺伝子がいじられる中のどこかでノワージュ家の遺伝子が一部混ざったからだったんじゃないかと。まさか味覚にも理由があるなんて。
同時に、やっと国の呪いとセレスの正体についての謎も解き明かされました。
呪いの正体は土壌の毒素によって23ある染色体が1年ごとに一つずつ蝕しばまれて死に至る遺伝子疾患であること。リコリスは土壌の毒素を吸い込むアレロパシー効果を持つ、「災い」などではない「救い」の花であったこと。
そして、遺伝子疾患を持つ親にリコリスの花畑で産み落とされたセレスが、遺伝子の異常反応によりリコリスの遺伝子を持って生まれてしまっていたこと。それによって彼女の身体に収まりきらない毒素が彼女から放出されていたこと――。
普通の女の子であることを証明する約束は叶わず、科学的に死神であると証明されてしまいました。
そしてシアンは彼女の遺伝子をアレロパシー効果を最大限引き出せるように編集した上で無数のクローンを生み出し、それを国中に生き埋めにして毒素を減少させるという計画を発足します。
特効薬を作って毒素を消滅させるのではなく、まず減少させる。その上で自分の寿命を引き延ばし成長することでゆくゆくは毒素を消滅させる、という先を見据えた計画ではあるものの、この神様、またも「耐える」方向に思考がシフトしているんですよね。シアンルートを経た後だとよくわかる。
そしてそれを心の底から「良かった」と安堵するセレス。
彼女と親しい者に加えてプレイヤーも絶望に落とされる中、当事者のセレスとアルペシェールにとってはまさしく「救い」なんですよねえ……。
だからセレスを助けようとする精鋭達が善悪で分けると「悪」になってしまう。
自警団の仲間たちやアドルフの死という犠牲を経て辿り着いた、シアンとの決戦の舞台。
シアンが神から悪魔になったとき、イヴが立ちはだかるという予言通りになりました。その予言も元はイヴに全幅の信頼を置くアンクゥが残したものなんだろうなあ……。
痛みと共に思い出した恨みや憎しみの感情が発露しそれを彼女に向けつつも、それ以上にセレスのことを愛しているから苦しみながらも共に生きていくという決意を告げる彼。
例えこれまでの人助けが根底にあるのが自分勝手な願いによるものだったとしても、等しく他者を大切にしてきたイヴが、他を見捨てて罪悪感を抱えながらもセレスだけを選ぶという熱い想い。
大衆にとっての「悪」と「善」のぶつかり合い。偏愛の彼は、その偏った愛を向ける一番を定め、セレスだけのヒーローになります。
ここからのやり取りは好きな台詞が多すぎるので、ちょっとペタペタ失礼します……。何度でも見返したいし見返して欲しい。
そして何といってもこのシーン!!!!さすがにスチルそのままは貼り付けられませんので台詞だけ。
「リコリスの化身である彼女は生まれ落ちたその瞬間から守護者たる俺のもの」と声高く宣言するイヴ。
ここのイヴはカッコよすぎます……!普段穏やかであるからこそ、意志の強い彼の告げる力強い言葉には自然と惹きつけられてしまいますね。
「あい」から「愛」へ。
「博愛」から「偏愛」へ。
そしてここで思い出した「痛み」によって救われ活路が開かれるイヴ。
シアンとの一騎打ちで、痛覚を未だ失っていると思っているシアンがイヴがそのまま突っ込んでくると考え下から最後の一撃を入れようとしますが、痛みに従ってイヴがのけぞり不発。そしてイヴがシアンの腕を切り落として決着が着きました。
やっと一件落着……と思いきや、異常反応を起こした遺伝子の暴走により「進化」してしまうセレス。
そのまま逃げるセレスと、それを躊躇なく追いかけるイヴ。
そして、それぞれの結末へと進みます。
……とその前に。
ここでパンの謎が!!!!共通ルートの序盤も序盤すぎてそういえばイヴの名前が出た時にシアンが反応してたことを、もうここまでくるとすっっっかり忘れていました。
植物学で麦を普及させたのがノワージュ家で、それまで生きることだけに必死だったアルペシェール国民はその辺のものを焼くか煮るかしかしていなかった。
つまり、焼くことも煮ることもしないシアンはそのままだと餓死していた、と。(シアンならパンがなかったらなかったで、焼きも煮もせずその辺の素材そのものを生でかじってそうですけどね)
といってもそれだけじゃなく、協力者であったイヴの祖父への義理立ても含まれていたようですが。
絶望エンド
【 黒色の愛 】
3人もの絶望を経て攻略制限を解いたイヴルートならこのまま救いがあるのでは……!?
と期待を抱いたのもつかの間――。
炎に巻かれる、二人が愛したリコリスの花畑でセレスに手を伸ばしたイヴは、あっけなく炎に焼かれてしまいます。
顔だけに留まらず、今度は全身を。傍に愛剣が落ちていないとその黒いモノが誰なのか判別がつかないほどに。
そして狂ってしまうセレス。
もともと死んでいるものには呪いが効かないから、これからずっと一緒にいられると歓喜します。
焼け焦げた彼をいつまでも愛することを誓った絶望エンドでした。
ということでまだ救いは訪れず。いつになったら救いがやってくるのか……(´;ω;`)
【 紅きリコリス 】
小さい方の絶望エンド「紅きリコリス」の結末も、バッドエンドとして好きな結末でした。サブタイトルが秀逸で結末に辿り着いたあとに鳥肌が。
こちらのエンドでは、イヴとシアンの決着が着く前にセレスの遺伝子暴走が開始。
そしてセレスはイヴを殺してしまう前に、自ら生きたまま土に埋もれることを選択し、その「役目」を果たすことになる――という結末でした。
ああ、恐れていた生き埋めENDが……。
黒いはずのリコリスの花畑の中で、一部だけ紅いリコリスが咲く場所を見つけ、近づいたイヴが目にしたのは土から飛び出す愛しい金色の髪。
そしてそこで終わらず、イヴ宛てにと預けられたセレスの遺物。
髪飾りの欠片と、
彼と繋ぎたかった右手、です。
このシーンがあるからこのバッドエンドが個人的にお気に入りなんですよね。
イヴが差し伸べてくれた手を、この手で取りたかった。そして贈られる手。
物語の結末として綺麗で見事なバッドエンドだったと思います。
最期、自死して後を追うイヴから舞った血しぶきが、リコリスを別の紅に染め上げた、という描写も好き。
そしてサブタイトルが「紅きリコリス」。
セレスが毒素を吸収して咲かせた紅いリコリスと、イヴが自身の鮮血で染めた紅いリコリス、という二重の意味を持っていたのだと思います。
救済エンド
【 終焉を迎えるその時まで 】
紅蓮の中での、リコリスの花束による求婚。
やっと辿り着くことのできた運命の終着点が見られて、感無量です……!
業火の中で花束を差し出すスチルは迫力があって美しくもあり。
どれだけ好きだと言っても死にたいと言って逃げてしまうセレスを、逃がすまいとどこまでも追いかけたイヴ。
「元々、君が死んだら冥界まで追いかけるつもりだったんだ」という台詞は、絶望エンドを見た後だと説得力がありすぎる。
偏愛の彼はどこまでも追ってくる。そして一途な愛を向けてくる。乙女の夢が詰まってません……?
「その命がいらないのなら俺にくれ」という最後の一押しの告白も胸に響きました。普段は物腰柔らかめな彼の力強い言葉ってここぞとばかりに生きてきますよね…!かっこいい。
ああもう最後の業火の中での口づけのシーンも素敵。スチルも最高。(失われていく語彙力)
もともと読先生の絵柄が大好きなこともあるのですが、本当に読先生のイラストのクオリティでこの物語が見られてよかったなあと思います。
そしてイヴ自身も忘れていた、幼いイヴが叶えたかった夢は、死神の伝承のようにリコリスの花束で好きな女の子に求婚することでした。まさに運命。
リコリス・ノワージュの姫君とその守護者の、業火によって始まった縁は、業火の中で結ばれましたとさ。
めでたし、めでたし――――でいいんですよね!?
エピローグで仲睦まじく2人で過ごすも、周りから隠れ住み、イヴは毒素で侵された身体がほとんど言うことを利かなくなって寿命も残りわずか、半年持つかどうか――というのを見て、もうそこは幸せになっても良かったんだよ!!!!と思わずつっこみました。エンディングムービーのあと、全てが円満に解決してめでたしでも良かったんだよ??
ということで、最後まで終ヴィルはどこまでも終ヴィルでした。そんなところが大っ好きなんですけどね!!!!!
大切な人を死なせた罪や、救える命を見捨てた罪、たくさんの命と希望を踏み台にした罪を抱えながらも絶望と共に生きていく、というのが死神とその守護者らしい在り方です。
さすがにこの結末の後は救われる未来しかないと信じたいです。
アンクゥも準備が整った状態でシアンの目の前に現れましたし。きっと2人の寿命に間に合ってくれるはずです。
残念ながらこのルートでもアドルフは死んでしまったけれど。義兄さんと、イヴには面と向かってアドルフをそう呼んで欲しかったな。
タイトル回収もありました。『ヴィルシュ』の本当の意味。
そして『ヴィルシュ』の称号は、イヴとシアンが国を救ったその時に与えられる英雄の称号だったのでした。
イヴの救済エンドは最後の最後に回収しましたが、この順番でやって良かったです。
絶望エンド 後日談
※限定版特典小冊子SSネタバレです※
【 ただ、絶望も希望もなく 】
イヴ、生きてました。
セレスが伸ばされた焼け焦げた手を取ったとき、全身が炭になりながらも、かろうじて生きていたのです。
奇跡的に繋ぎ止められた意識。それが消える瞬間までを、イヴ視点で描いたSSでした。
なので、セレスが狂った瞬間もイヴは生きていて、その後、炭になった身体を洞窟に運ばれて口づけを施され愛を紡がれるその時も、感覚はないけど意識上で捉えていたんですよね……。
ゲーム上では焼けた時点で死んでしまったと思っていたので、これは更なる絶望です。
イヴはあの時点で死んで、先のセレスがどうなるか知らないままの方がきっと幸せだったでしょうに。
狂っていく彼女を見て、『自分が与えたかったのはそんな「生」じゃない、まだ後を追ってくれた方が良かった』と思いながら、既に遺体と化した身体では「一緒に死んでくれ」と口に出すこともできず。
真の絶望を感じながら、息絶えてしまうイヴなのでした……。
イヴがセレスを追いかけているとき、その身を焼かれるまでセレスに近寄っていく際のイヴ視点での心情の描写が見られたのが良かったと思います。
救済エンド 後日談
※ステラ特典小冊子SSネタバレです※
【 彼岸の花が咲き乱れ、そして―― 】
救済エンド後から間もない時系列のお話でした。
罪の意識に苛まれながらも、ひっそりと洞窟で共に生きる2人。
めちゃくちゃ物哀しいお話でした……。
あの、救済エンド後のSSですよね……?もうちょっと救いをください(切実)。
最後の最後で救いが訪れることを示唆する一文があったのがせめてもの救い。
その訪れた救いの後のお話が、見たかったなあ、と……。
終遠のヴィルシュらしさを最後まで貫き通したと言えばそうなんですが、私はこのSSだけは読まずに本編の救済エンドだけ見て終わっていればよかったなと思いました。
ヒューゴの想いの答え合わせについては私は肯定派なのですが、そこではなくて、泣きながら愛し合う2人というのが切なくて、その後救われると分かっていても現時点で子供を作ろうとするのは残酷というか……。
早く本当の救済をください。FDお願いしますマジで。
その他
まだ書き残し足りない想いがあるので少し続けます。
彼を語る上で欠かせないのは、食への執着やそこから生み出される殺人料理ですよね。
害したら死んでしまうリコリスを食べたり、流れ着いたフグを捌いたり。
家訓により新しい食材を見つけては食べて倒れてを繰り返していたようです。
家に伝わる食材の下処理というのがあるようなので、フグ毒については大丈夫なのかな……?共通ルートで昏倒した3人を見て内臓では……とか思ってました。
飼っているフクくんをどこまでも食材としてしか見ていないのもブレませんでしたね(笑)
第三幕エピローグになりますが、ご先祖様から既に可愛いわ。
あとはイヴのビジュアルも大好きです。
拗ねた顔とかジト目とか可愛すぎる。
自警団服も良いですよね~。ちょっとお坊ちゃん感ある。
意外に背が高いのも個人的にはツボ。
線が細いからそんなに身長高く見えないんですけど、177cmあるのでマティス(167cm)やリュカ(172cm)を余裕で上回り、アドルフ(178cm)とシアン(180cm)と比べてもほとんど差がないんですよね。
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長くなりましたが、思いのたけは全てぶつけ切ったと思うのでこれにて終了します!
ここまでお付き合いいただいた方はあまりいないとは思いますが、ありがとうございました&お疲れ様でした!