総評価レビュー&総合感想です。ネタバレなし。
購入しようかどうか迷っている人の1つの指針になれば幸いです(*’▽’)♪
※個人的所感による感想ですので参考程度にお願いします。
※気を付けていますが、1ミリのネタバレも許せない、まっさらな状態でプレイしたい!という方は回れ右推奨です。
総評レビュー(ネタバレなし)
シナリオ
まずボリューム面のお話ですが、構成は共通4章+個別1章+後日譚となっています。共通が長く、個別が短いという所感。2周目からは共通部をほぼ飛ばして短時間で攻略できるため、昨今の乙女ゲームの中ではボリュームは少なめな方です。けれど、決してシナリオが薄いという訳ではなく、しっかりと練りこまれたストーリーとなっており、ボリュームに対して密度が濃いといった感じでした。個別ルートはもう少し長くてもよかったのになあと思いつつ、共通ルートもすごく楽しかったので、総合的に見て個人的には満足しています。
そして、ゲームを通してまるで1本の海外ドラマを見ているような感覚を覚えました。開始してみるとプロローグから興味を惹かれるストーリーで、その後の1章でしっかりと世界観に引き込んでくれます。テンポが良く疾走感があるので、続きが気になりそのままクリアまで走り抜けた気分でした。
シナリオ中の言葉選びにもセンスが感じられ、色々と考えさせられたり、自分自身にまで響いてくる言葉がいくつもありました。モノローグなど文章のみのシーンを撮ったスクショが気づけば数点画像フォルダに溜まっていたほどです(笑)
残念の部分としては、少し話の風呂敷を広げすぎて回収が雑になってしまった箇所があったところでしょうか。その後が気になってしまった部分が少々……。
また、よくよく考えてみるとご都合展開も多かったような気もします。しかし、シナリオ構想や設定がしっかりしていたこともあり、ストーリーの芯は通っていて矛盾は感じなかったため、不思議とそちらはプレイ中気になりませんでした。この辺は個人個人で感じ方が違うかと思います。
キャラクター
攻略対象キャラクターは5人です。皆しっかりキャラが立っていて、それぞれにバックグランドも見えて設定がしっかりしていました。
仲間同士の結束や友情というのがストーリーを通して描かれており、個別ルートに入っても皆で協力し合ったりと、共通ルートの盛り上がり間を損なわず楽しませてくれます。
何よりサブキャラクターも含め、キャラクター同士のかけ合いが見ていて楽しかったです。
サブキャラクター達も個性的な人物揃いで、魅力的。こんな友達が自分にもいたらなあ、と羨ましくなってしまったり。ストーリーの伏線にもしっかり関わってきます。
また、キャラクター自身が良い意味で人間くさい。良いところはもちろん、悪い部分や汚い部分などの裏面も描かれていました。それもあって、よりリアルなドラマ間が感じられました。
ヒロインについては自分の考えをしっかり持っていて行動力に溢れた女性、という印象を持ちました。明るく活発的で、攻略キャラクター達のかけ合いの中にも存在感があります。
糖度
甘さは控えめ。クリア後の後日譚は本編より少しだけ甘めといったところ。恋愛過程は雑でもないし丁寧でもない印象でした。個人的な感想になりますが、一部、キャラクターがヒロインに惹かれた理由は分かるがその逆が分からないということもありました。
ミステリー部分で違う意味でドキドキさせてくれましたが(笑)全体的に恋愛より仲間の友情とか、そういう面が重視されていたのかな?という印象です。仲間と協力して事件を解決するという展開がアツい。
グラフィック
全てにおいて崩れもなく綺麗なイラストでした。グラフィック面は安心してプレイできます。スチルの枚数は少なめですが、差分がものすごく多くて、自然すぎていつの間に切り替わったのってくらいアニメばりに動きます。そんなこんなで1枚1枚に見ごたえがあり、最後にギャラリーで確認したら枚数は意外と少ないな、と思ったくらいでしたので個人的には満足です。
システム
一言でいうと、演出がすごい。これまでの乙女ゲームにはないスタイリッシュさで全体的に高いクオリティです。
キャラクターの背面の立ち絵があったり、アニメのように動くスチルがある、車で移動するシーンで個別に車内での座り絵が用意されている&その車で移動している演出も細かい、街の背景などが静止画でなく動いているなど、まずグラフィック面の演出に手が込んでいることが挙げられます。UIデザインもゲーム内に出てくる物と関連していてこだわりが感じられました。
また、驚いたのが音声面。モノローグや画面暗転中でもボイスが流れるのでリアルタイム感があります。あるキャラクターが喋っている最中にも他のキャラクターが被せて喋ってきたり……空間に奥行きが感じられたといいますか。平面なのに音声の演出で立体感がある。そこが「ドラマっぽい」雰囲気をより際立たせているなと。章間にある次のチャプターの予告もクオリティが高く、気分が盛り上がりました。
攻略面では選択肢を選んだ際に好感度の上がるキャラクターの色が表示されるため、目当てのキャラクターのルートに迷わず進めるかと思います。攻略自体は一見複雑そうに見えて簡単でした。
悪かった点としては、選択肢スキップが使いづらかったことです。章ごとに管理されているため、章をまたいで次の未読部分や選択肢まで飛ばすことができません。同じ章内では問題なく使えるのですが、章の最後の選択肢から次の章に行くまでは普通に既読スキップをかけて片手間で別の事をしていました。また、選択肢が表示されている時はセーブできないことも、細目にセーブする派からすると難点でした。巻き戻すことはできるので、毎回巻き戻して選択肢直前でセーブをしていました。
ヒロインの声はボイス付きですが、気になる方はOFFにできます。ただし、演出で複数人の声が被る部分は主人公の声が再生されてしまう箇所があり違和感があることも。(※発売時からいくつか修正パッチが出ているため、もしかすると修正されているかもしれません)
総評
全体的に「楽しい!」と思えた乙女ゲームでした。恋愛面のドキドキより次の展開への期待のドキドキが大きい感じで、仲間と協力して困難を乗り越えていく展開がアツいです。テンポが良いのでさくさく進めることができますし、攻略するごとに解ける謎や新たな謎が生まれたりするので、どんどん次のストーリーが気になっていきます。フルコンプ後には、まるで連続ドラマを見ていたような感覚を覚えました。
『あざやかな悪に染まれ』というキャッチコピーが印象的な本作ですが、個人の考える正義は世の中の法律に当てはめると悪であるが、一部の人にとっては確かに正義であったりするなど、プレイ中に考えさせられることも多かった作品です。
糖度は低めであるため、甘めの乙女ゲームを求めている方には向かないかと思います。逆に、冒険やサスペンスが好きな人にはおすすめできるでしょう。
システムの項で述べた通り、演出が凝っていて他にないスタイリッシュさを感じることができるため、普通の乙女ゲームに飽きてしまった人にこそおすすめしたい1本です。
また、制作元の文化放送エクステンド発の前作『Side Kicks!(サイドキックス)』が好きな方はこちらも楽しめるかと思います。少しですが、おまけでクロスオーバーもありましたよ。
プレイを迷っている方は、スマートフォンでも無料体験版が配信されているので、気軽にチャプター1を1章まるごと遊ぶことができるのでぜひ。(※Switchでも同様の体験版が配信されています)
現実味のある世界に紛れた、『時間を遡る力』という不思議な力を持ったヒロイン。彼女がその力をもって世界にどんな変化を与えていくのか。ぜひご自身の目で確認してみてくださいね。
Switch 2019/12/19 発売
eXtend(文化放送エクステンド)
すめらぎ琥珀 minetaka
KENN 細谷佳正 吉野裕行 福山潤 白井悠介
あざやかな悪に染まるアドベンチャーゲーム